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政治・経済政策

国債の購入に民間の預金は関係・制約ないか? 何で揉めてるか解説


2022/4/28

5/1改定

国の借金が国債という形で、約1000兆円になり、日銀が現在は、その半分の国債を買い上げてます。財政破綻するのではないか、それに対してそれは「嘘」などの説も動画で流れていて、ツイッター上でも揉めている事が多いので、調べて見ました。

特に、国債の購入に民間の預金は関係ないのか、制約はないのか、について調べました。

筆者は銀行の実務をしている訳ではありませんが、簿記の資格は有しており、小さな会社を持っているので、金融機関との取引もありますし、仕訳も自分で数年は、税理士の指導をもとにやっていましたので、その範囲で調べた事をまとめました。その範囲の知識での記述なので不正確な点があれば申し訳ございません。ご指摘は大歓迎です。なお、ソフト不調でなぜかリンクが張れませんので、原文をもってきます。

なお、本調査においては日銀等に確認をとり、また国会答弁の動画もかなり見てきましたが、残念ながら以下で記述するような明確な回答は得られてませんので、私の解釈も入っています。

 

背景と立場の違い

背景ですが、国の借金の額が膨大になるので、その懸念からさらなる財政出動に懸念があるために話題になっているようです。背景の理解として以下、主に二つの主張の人々がいます。

    1. 借金の額は膨大すぎるので、将来の財政破綻やインフレを気にする人々(財政規律派)
  1. 財政出動こそ必要であり、借金に問題はなく、財政出動さらに積極的にすべきと考える人々(MMT派と呼ばれる事も有る。Modern Monetary Theory)

両者がこの主張や懸念を持って、論争し揉めていると理解すると分かりやすくなります。根源は財政出動に肯定的か否定的かというスタンスの違いによるのでなかなか溝も埋まらない感じですので、建設的な方向に流れればいいと期待して、少し明確化してみました。その中で信用創造の話や簿記上の仕訳や政府と日銀との関係の話も入ってきて、複雑です。

調査の範囲の絞り込み

よって筆者は、以下の点に絞って調査しました。

1.「銀行の国債購入は、民間預金の制約を一切受けず」は本当か? =>結論 間違い 個別の銀行が個々に判断していて制約を持っている。国債に信用リスクがあると判断されれば購入行動に影響があるし、バーゼル規制を元にした経営をしているため。

2「銀行は集めた民間預金を元手に国債を購入しているわけではなく」は本当か? =>結論 元手の場合と、そうでない場合(借入や新規信用創造利用の場合)がある。少なくとも銀行は自己資本比率等の規制もあるため民間預金の量は関係している。

つまり国債発行の原資として民間預金が関係しているかと制約の有無です。言葉じりではなくなるべく本質を見抜くように努力してみました。

これらは、日本国債のwikiに以下のように説明されています。なお、Wikipediaは誰でも編集できるので有効な情報源ですが、やはり不確実性もあります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E5%82%B5#%E7%99%BA%E8%A1%8C%E3%81%A8%E6%B5%81%E9%80%9A%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF

銀行は集めた民間預金を元手に国債を購入しているわけではなく、日銀が供給した日銀当座預金を通じて、国債を購入しているため、銀行の国債購入は、民間預金の制約を一切受けず、銀行が国債を購入して政府が支出する場合、銀行の日銀当座預金の総額は変わらない。また、政府が国債を発行して、財政支出を行った結果、その支出額と同額の民間預金が新たに生まれる。つまり、政府の赤字財政支出は、民間預金を減らすのではなく、逆に増やすことになる。それゆえ、財政赤字の増大によって民間資金が不足し、金利が上昇するなどということは起き得ない[9]。」

ここでの参考文献はMMT派の中野剛志さんの図書が参照されていますのでよってそのスタンスもはいってそうですね。

これを元にしたかどうかはわかりませんが、自民党の西田参議院議員が以下のように日銀に確認しています。

3:16秒 「国債発行が民間預金で引き受けられて、そうじゃなくて、日銀が自ら発行する準備預金によって」

なお、残念ながら直接この文章の部分については日銀は明確に返答していません。詳細かつ明確に回答していれば良かったんですが。動画は色々見ましたが、国会での正式な答弁をきちんと確認するのが一番良いです。それから、その組織側の公式な資料を厳選にすることも重要です。

 

 

これに対して、民間の国債を購入する側の全国銀行業界のHPは以下の記述になっています。

 

銀行は、基本的に預金等で資金調達(負債)を行い、貸出金や有価証券等で資金運用(資産)を行っています。その内容を代表的な科目を中心に 、詳 し く 見 て い き ま し ょ う 」。=>(資産の表に国債が入っている。)

銀行に預けられた預金は、お金を必要とする個人や企業、国・地方公共団体に貸し出されます。お金を借りた個人・企業などは銀行に対して利息を支払います

先ほどの主張とは正反対です。ただ、これが広く受け止められていた民間銀行側の説明でした。但し、留意するのは預金は、貸し出されるとは言ってますが国債購入する時の原資、それだけだとまでは行ってない事です。

これについて両者の違いをもとに調査した内容を解釈すると、

日本国債は、日銀当座預金で買います。よって、直接民間銀行の預金で買う事ではないです。但し、原資は何かといえば、民間銀行のバランスシートから見て、日銀当座預金は資産側で反対側には、民間の預金や資本があります。民間の預金の割合は約7割程度なので、民間預金を元手にしてないというのは言い過ぎかと思います。直接的ではないが間接的には、やはり主に民間の預金の存在を元にしているとバランスシート上は解釈できます。

ただ,さらに調べると、民間銀行は国債を購入する時に、日銀当座預金額が不足している場合、その国債を担保にして日銀から資金を借り入れできるメカニズムがあります。日中当座貸越という制度です。よってこの場合は民間預金は必要ありません。

よって日銀当座預金が十分にある場合は、間接的に民間預金の存在を元にしている、当座預金不足の場合には民間預金に関係なく原資を調達できるということです。また、新規に信用創造で預金ふやした場合は、その預金も使用可能です。

元々、「国債は、預金で買っているので、高齢者が預金を引き下ろし始めたら、国債は購入できなくなる」という論があります*

  • 財政破綻後 小林敬一郎他

ここからこういう討論が生まれているんだと思います。確かに筆者は、その論には疑問を持ってました。ただ、高齢者がお金をおろしても、それが借金返済にまわらない限り誰かの所得になり預金になるので預金が総量減る事はないです。

逆にいうと、日銀が金融緩和を辞めて、資金を市場から吸収すると預金は減っていきますので日銀の出口戦略を議論する方が健全です。日銀はそれを示してないので。

 

次に銀行の国債購入は、民間預金の制約を一切受けずといいますが、制約はないのでしょうか?

=>あるとの判断です。なぜなら、銀行には自己資本比率の規制、バーゼル規制があるためです。

その規制では海外に営業拠点を持たない銀行の場合、わが国では、4%以上の自己資本比率が求められています。

よって資産運用する債券に万一のリスクがあり損失が出た場合、は自己資本が減ります。よって銀行は利用できる資産額(日銀当座預金含む)の大きさを元に、購入額や保持額を

決定しています。その資産の原資の多くは、集めた預金ですので、少なくとも「民間預金の制約を一切受けず」というのはいいすぎだと思います。

「民間預金に直接の制約は受けないが、民間預金を原資として民間銀行の資産の大きさによる資金運用のリスク管理の制約や株主に向けた利益管理の観点の間接的な制約を受けた範囲で国債は購入される」

というのがより正確かと思います。

例えば、A銀行の預金が10億円で資本金が10億円で、それがそのまま日銀当座預金に20億あったからといって、1兆円借金してその分国債購入は銀行はリスク管理の観点ではしない事は想像できると思います。もし1兆円のうち、万一 1%の10億の損失があれば、10億の赤字のため、資本金で0になり、自己資本比率を満たさないからです。そういうことになれば、銀行は取り付け騒ぎになり、連鎖したら金融危機となり、お金の引き出しでできなくなると皆困ります。具体的に各銀行がどの程度の購入比率にしているかまでは分かりませんが何か基準なり、審査プロセスは持っていると思います。

また、国債のリスクはリスクウェイトとして0とされています。つまり会計上は、信頼度が高く、満期で保有する以上は必ず額が絶対返ってくるとなっています。但し、途中で換金したくなった場合やトレーディング目的で購入した国債は、時価で売却しますが金利が購入時より上昇していれば、国債価格は下がるので損失となります。このあたりは「債券の金利と価格」というワードでぐぐってください。よって買う側は万一の事を考えて、リスクがとれそうな範囲で購入するというのは理解できると思います。A銀行がそのリスクをどの程度許容できるかは所有している資産の大きさが関係しており、その原資がA銀行に預けられた預金だとすると預金の制約を一切受けないとは言いすぎで誤解を生んでいると思います。

ちなみに金融機関が国債の安全性をどう説明しているのか以下で確認して見てください。信用リスクや、価格変動リスク、流動性リスクがあり、

「国債の発行体である日本国の信用状況に変化が生じた場合、市場価格が変動することによって売却損が生じる場合があります。」と、国債を購入する側は論じてます。よって、民間金融機関が絶対いつでも国債を買ってくれるとの極論はあり得ません。

http://www.alupuschuo-shinkin.jp/kojin/unyo/kokusai_1.shtml

やはり一文の文言の切り抜きで論理だてるのは無理があると感じてます。

 

 

補足

以上の議論とは別に関連した以下の議論もあります。簡単にご紹介すると、

1)財政破綻するのか

MMT派:財務省の以下の記述があるので破綻しない

「先進国の時刻通貨建ての国債のデフォルトは考えられない。」

この記述を書いたと言われている高橋洋一氏によりと、「先進国の」という意味は、先進国並みのきちんとした管理をした上であるとの旨を注釈されています。よって無条件にデフォルトしないということではなさそうです。

 

2)ハイパーインフレする

MMT派: 今までデフレで苦しんできており、インフレ率2%にもずっと達してないし、財政出動の範囲は、インフレ率2%までとしているのでならない

それに対して、国債の擦りすぎで過去日本はハイパーインフレになったので注意すべきであるとの反論があります。ならない事を望みますが、過去と将来に起こる事象が違う場合は気になるところです。今世界的にインフレ傾向ですが、それが収まる運営を政府と日銀ができるかで明確化してくると思います。

 

3)政府と日銀との関係

MMT派: 日銀は政府の子会社であり、日銀に払う国債の利息は利益として政府に変えるので、統合して考えると、日銀分の国債は借金扱いしなくて良い。

それに対して、日銀黒田総裁は、「日銀は子会社ではない」と反論。他の指摘として「国債の金利収入は、平均満期は7年で7年後に収入になるが、金利上昇局面では日銀の負債である日銀当座預金の金利を上昇させるので、利払いがすぐに多くなる。よって金利が1%でも上がると、日銀の国債の平均金利は0.25%程度以下なので、逆ザヤが発生し、損失となるので統合で考えても借金となりより短期で支払う必要がある、」との指摘があります。それに対して有効な反論説明は調べましたがありませんでした。

 

4) 民間銀行の信用創造は、無から有を生み出し、民間預金は必要ない。逆に信用創造から預金が生まれる。

ここの議論についても先ほどの全銀協の情報とは違い、それを元にした高校レベルの教科書と違うのでなかなか受け入れ難いとの議論があります。

いろいろ調べた上での私の結論は以下です。

信用創造した時点では、確かに通帳に数値を書き込む処理をするだけなので、その通りであるが、実際に現金化したり、日銀当座預金で他の銀行に振り込む場合は、今までの議論と同様、その原資は元々あった、民間預金である。例えば、お札をATMで引き出した場合は、誰かが預金したお札が出てきますね。

また支払額にもよるが、それが大きい場合は、例えば、500億円、日銀当座預金で支払う場合は、先ほどの議論と同様、リスク管理上、返済されないリスクも考慮する必要があり、制約が出てくる。よって資産の大きさが預金の大きさに関係するので、民間預金の大きさは全く無関係でなく、間接的に信用創造で貸出して行くときに、制約上関係する。但し、ある局面だけ(通帳に印字する時)だけ見ると、民間預金は必要ないという見方は存在する。ただ、無関係ではない。無関係を強調するのは視野の狭い見方である。

 

 

 

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まとめ

銀行預金による国債購入について不明な点を調べて見ました。ご指摘あれば、コメントよろしくお願いいたします。

なお、全銀業や教科書が説明している内容と齟齬がある場合は、やはり、それらが正しい認識で修正されないと、この議論はなかなか収束しないと思いますし、政府の見解も誰からもわかる形が文書化されるのを望みます。

その上でより日本の為に、建設的な議論の方向になればと期待します。財政出動派も財政規律派もスタンスはちがいますが、より建設的な議論になり感情論にならなければと願います。

個人的には財政規律の有無は世界から評価されるのでやはり重要で、但し、どの程度が最低必要なのか、その上で、理想的にどのような経済対策を少子高齢化や世界情勢に合わせて取って行くのか、複数案が出る中で政治が中心に明確にしていって選挙で結果が選択される方向になって欲しいと願ってます。そこまで議論せずに表面だけの主張にならない事を望みます。

 

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