783902a7fc0f89926580df3a55d4b806 - 派遣(非正規)政策・小泉改革の問題~不景気、社会不安との関係

政治・経済政策

派遣(非正規)政策・小泉改革の問題~不景気、社会不安との関係


日本経済は一部を除いて中々好転している様子がないです。特に問題視しているのは、実質賃金の低下と生活必需品のコストの増加(税金や社会保険料の値上げ)であるのでは?観察しています。

Yahooニュースで意見交換をすると、普通100%の賛同が来ることはないのですが、以下については、100%の賛同が得られます。

・派遣制度が、景気が良くならない原因

・韓国の問題

自分自身が派遣の方を管理し、また自分も派遣になった経験と、子供が派遣になり低い収入のままになるのでは、との危機感から、気になることをまとめてみましたので、参考になれば幸いです。

なお、あくまでも私個人の体験に基づいているので、意見はいろいろだと思いますし、友人と話をしても意見は合わなかったので、改めてまとめてみました。データや事実の部分や、アイデアの部分が参考になれば幸いです。

 

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私の職務経験

最初に私の認識を語る前に、職務経験などをご紹介したいと思います。どういう視点で見ていたか、と理解して頂くためです。

以下の経験があります。

・大企業にバブル時代に就職
・大企業で労働組合職場代表
・転職し中企業複数に勤務、管理職を複数部門で務める。
・後半は、派遣社員として遠距離に派遣される
・体調崩し早期退職
・数年休む
・起業

大企業では徹夜を何度もし、またサラリーマン後半は体調を崩しましたが、今は元気に生活できております。企業時代の監理職の時には、割と良い収入がありましたが、今の自社の給与はそこまではいきませんが収入源も複数あり、困ることはありません。

 

派遣(非正規)政策・小泉改革の問題

次に自分が派遣社員を使用した時、観察したこと、また自分自身が派遣社員になった時に感じたことを説明します。

管理職になる前に、派遣社員や正社員の増員を上司にお願いすることはありましたが、派遣会社と契約自体をすることはありませんでした。

ところが、管理職になると、直接派遣会社の営業担当や、派遣する人と会うことになり、当然、派遣法などの規則を、企業のコンプライアンス上、勉強することになります。

すると、派遣会社の要員が「1年契約でない」ことに初めて気が付き、大変驚きました。法律的には、例えば、3カ月毎に更新契約でもかまわないことを知りました。

これを知った時、

「何て企業に都合の良すぎる法律なのか」「何て派遣社員に不利な法律なのか」とかなりびっくりしました。

会社の業務は、1年で計画を立てるために、自分のいた会社では、私は、そもそも人を3カ月で交代させることなど考えてませんし、計画してません。

その変わり募集する要員は正社員であれ、派遣であれ、人物に対する要求を優先度含めて明確にして採用します。採用した以上は、長期に雇おうとするのです。そうでないと、教育コストも採用コストもかかります。

雇った人を問題なく、雇い続けるために、当然契約や営業の数値を上げることを第一に考え、足りない分を派遣で調整する、などの考えはまったくなかったのです。

せいぜい残業時間の調整です。

数年、働いた派遣の方が地元に帰ることになり、宴会の時に、「何が働いていて一番問題だったか?」と聞いたことがありました。

すると、「契約が3ヵ月か6ヵ月毎の更新なので、いつ切られるか、わからないのが一番不安でした」と、まず最初に聞きました。

その時、派遣の人(男性の方)の悩みを初めて実感したのです。ただ、派遣の方でも、正社員にならずに自由なままが良い、と言われる方もいました。しかし男性の派遣の方でそういう人はおりませんでした。

恐らく、生活基盤としての確実な収入が必要か否かによるところもあるのだろう、と思います。

 

自分が派遣になった時

急に自分が管理職を辞めて、遠方に派遣社員として生かされることになりました。子供が小さかったので、かなりの苦痛でした。

そもそも独身なら、家族との関係もなく、苦痛もなかったと思いますが、家族がいたり、また、体調や適合性も若い時とは違ってきます。

そして、その派遣契約は、3ヵ月毎の更新契約でした。もし、3ヵ月毎のチェックで切られることがあったら、もとの会社に戻れても、評価が悪くなりそのあと業務や収入がどうなるかわからない、との思いもあり、この3ヵ月前の更新というのは、かなりプレッシャーとして感じました。

「使われる立場のサラリーマンのままは、いやだな」と強く思ったものです。結局、体調を崩し、会社を退職することにより、派遣先も辞めることにしました。

休憩期間を持ちましたが、今では好きな仕事を中心にしており、生活もうまく回せており、サラリーマンを辞めて良かったと思っています。

 

これらの派遣の制度は、聖域なき構造改革で、小泉総理の時に導入されていきしまた。「派遣切り」とか「派遣村」とか社会問題にもなりました。

小泉総理の改革が、「郵政を民営化することが一丁目一番地であり、これを改革すれば、財政の問題が解決する」「痛みに耐えて」など、私も当時は賛成しました。

ただ、今振り返ると、財政の問題も解決全然してませんし、痛みは今後、増えていくのではないでしょうか。

派遣制度というのは、派遣社員をしてない親も、不安にさせる制度だと実感しています。そういうことを不安に思わない、勝ち組の人もいるとは思いますが、それが健康含めてずっと続くか否かは保証できません。

 

景気感が良くない

現在は、アベノミクスと黒田バズーカにより、雇用や、株価、企業業績も調子は良くなりました。

ただ、デフレでなくなったとしても、デフレ脱却し、景気が良いと、実感はなかなか得られないのではないでしょうか?

それは、実質賃金や可処分所得が上がらないことによるとの解説があります。

賃金自体は、正規も非正規も上がっているのです。厚労省のデータもありますが、統計不正問題などあり、なかなか信用できないので、国税庁のデータを使ってます。

平成30年分民間給与実態調査

実質賃金が低下ともありますが、これは、所得の低い人が雇用されるためであり、今すでに働いている方の現役世代の実質賃金が下がっている分けではないとの解説があります。

上記国税庁の資料で見るように、平均給与は、正規、非正規ともH26年以降は伸びてます。実質賃金は、賃金額を物価指数で割った値となるので、物価があがると、その分、増えても、イコールとなります。

平均給与の伸び率が0.5-2.2%なので、日銀の設定した物価目標は、2%になってないことを考えると、実質賃金的には若干増えているといえそうです。

ただし、可処分所得でみると、社会保険料の増大、税金(消費税)の増大があり、また、物価についても確かにIT機器の値段は下がってますが、日常食品などは値段が上がっています。

実際のデータはどうでしょうか?

以下の大和総研グループの報告書が参考になります。

家計の実質可処分所得の推計(2011~2018年)
なぜ、マクロでは実質可処分所得が増加しているのに実感がないのか

なお、以下のような記事も出ており、ネット上の情報はまちまちです。

使えるお金じわり減少:19年消費税増税で共働き年収1000万円の4人家族、可処分所得7.5万円減

 

実質の可処分所得も総合的には増えてるようです。

例えば、我が家でも、妻は専業主婦でしたが、派遣で仕事をするようになりました。これは家計や将来の厳しさを実感しているためだと思います。

もし、収入の柱だった人以外が、労働に出れば、それは、家計あたりの可処分所得は確かにあがるでしょう。でも、出なければ、そうとも言えなく、「景気が復活している」との実感が持てないのではないでしょうか?

よって、今までと同じ家計の労働条件でなくなっているため、景気が向上したとあまり思えず、不景気感も残っていると思います。

そして、気感があるのと、消費も強くなれないのは、次の社会不安が強くなっていることの関係があると思われます。

 

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社会不安との関係

以下の社会不安定感が景気感に関係しているように思われます。大学進学前の子供がいる、私の個人的実感です。

1) 年金定期便を見るが、もらえる年齢に近づくほど、支給額がより明確になり、思ったほどもらえない

2) 年金が将来減額されそう

3) 政府の借金が膨大にありすぎ、増税が継続的にありそう

4) 高齢化と人口減少は止められなく、社会保険料も値上がりし、実際の医療や年金などの支給は減りそう

5)子供が就職する時に景気が良くなく、うまくいかず、派遣社員になった場合は、リスクである。その場合、子供が自立できないと、家を出るわけにもいかず、親の金銭負担も長期的に増える。

6)子供の大学などの教育費用は、自分たちの時と違い、かなり値上がりであり、またその値上がりトレンドも続きそう

この中で、私自身が一番意識するのはやはり子供のこと、そして派遣の問題です。

自分たちのことは、もうなんとかしますが、今後の子供や日本の将来が気になります。

正直、「派遣の制度などない時のように戻して欲しい」、「長期雇用を前提に企業も頑張って欲しい」「コスト削減を派遣中心に求めないで欲しい」と思います。

「派遣制度の撤廃」・・・そうすると、日本の不安感も多少払しょくされるような気がしますが、もう少し、次の項で検討してみます。

 

政策はどうあるべきか

ここでは、いろいろな観点で、政策はどうあるべきか考えてみたいと思います。私は政治家ではありませんし、ここで述べたからと言って政治がすぐ変わる訳ではありません。

でも、今後の日本がどうあるべきか、自分の今後の投票はどうあるべきか、子供にはどういう将来を歩む環境を作るか、を考えるため検討してみます。

まず利害関係者を大別してみます。

政治

  1. 既得権・・・大企業中心、大企業組合中心、そしてしがらみのある政党
  2. しがらみ少ない政党
  3. 大きな政府 VS 小さな政府

働き手

  1. 大企業管理職あるいは、高給をとれる人材
  2. リストラリスクを抱える組合従業員
  3. 小規模企業の正規従業員
  4. 派遣社員
  5. 所得を増やすための非正規社員(パート、バイト)

5番については、大黒柱の家計だけではリスクがあるとして、配偶者が働きにでる場合、年金だけで生活できない人などがいると思います。

これらの利害関係者は、利害が対立することも多く、なかなか同一意見にはならない可能性があります。

検討の出発点としては、「派遣制度の撤廃」で整理をしてみます。

 

政策 労働の流動性VS年功序列

まずは根本的な話題から。今までの日本は、年功序列的要素があり、特に企業の退職金の制度(退職金支給時の税制含む)があるため、米国などに比べると、雇用の流動性は相対的に低いです。

ここを改善して、新産業に移行が早くできるように、労働市場の流動性を今よりも強めるために、長期雇用の慣習制度を改善する、ということが考えられます。

高給を取れそうな人材でかつ若ければ、数十年あとの退職金よりも現在の給与が高くて、また転職できる方が良いと考える人は多いと思います。

私自身がそうでした。ところが、家庭を持ち、守るものが多くなり、転職適齢期をすぎていくと、どうしても企業にしがみつく傾向もでてきます。

60を超えて、70まで雇ってもらう、という制度に政策は動いているかと思います。一つの企業にしがみついた方が、確かに、収入は多いかもしれません。50代にもなると、会社外に出ると、転職のみでなく、派遣の仕事を得るのも難しく、収入は激減するからです。

日本は、長期の安定の雇用で、モノ作りを中心に、改善をしながら発展してきました。この部分を大切にして長期的な競争力を維持するのは必要ですが、新産業、たとえば、GAFAのような企業を生み出して、高付加価値が出せないと、中国にもますます抜かれ、没落していくでしょう。

よって、雇用の流動性を促進する政策が必要です。ただ、その前に、その新産業自身、あるいは企業がどんどん生まれてくる必要もあります。

そのためには、どちらかといえば、サラリーマンの大量生産のような教育から、起業を中心とした教育に転換する必要もあるでしょう。

60,70でひとつの起業にしがみつくので無く、40,50になった場合に、起業などをするときに強いインセンティブを与え、また残ることには、ディスインセンティブを与えても良いと思います。

 

政策 正社員と派遣社員の区別をやめる

以上に関連して制度としては、正社員と派遣社員の区別をやめて、その変わり、短期で派遣社員のように契約を更新する制度を辞めて(たとえば、最低3年程度)、その変わり、3年以上たてば、企業も人材の整理をしやすくして、企業の新陳代謝を高めることもできると思います。

経営側は、短期で人を使い捨てや利益の切しろにするのでなく、中長期的に考えて契約し、もしもある企業や業界の事業が伸びなければ、人員整理をしやすくして、別の企業に移動しやすくします。

あるいは、起業の制度を充実する。企業のイメージでいえば、リクルートのような企業です。

このようなことを記述すると、恐らく大企業などの労働組合のある社員が一番抵抗すると思います。

ただ、自分自身は、早めに切り替えたために、いろいろなチャレンジが出来てとても楽しく仕事し生活しております。

将来の日本や孫子のためには、変革が必要だと思いますが、ショックとならないように、段階的に実施していくのが良いと考えます。

 

政策 派遣法の規制緩和を基に戻す

上記のようになるためには、労働組合がバックにいた政党が抵抗するはずなので、なかなか政策は転換できないかもしれません。

かなり日本経済にショックになるような出来事がないと、意識もなかなか変わりにくいかもしれません。

敗戦時の日本のように焼け野原になって、「日本は輸出で稼いでいくしかない」というようなイベントがないと、ゆっくり、段階的に、人口減とともに衰退していく気がします。

一部の競争力のある企業のみが生き残れても、日本全体の活力がなくなり、また相対的に海外は経済成長しているので、不利なことが多くなるのではと危惧します。

もし、正社員と派遣社員の区別をなくす改革までいかなくても、最低限、派遣社員の制度については、段階的に廃止にもっていき、雇用や生活不安が少しでもなくなればと思います。

企業は、派遣社員をバッファにした運営をするのではなく、真に付加価値のある仕事を長期的に生み出すように、努力させるべきです。

なお、派遣社員の制度はなくなっても、パートなどの時間を限定した補完的な勤務は、昔のように残って良いと考えます。

 

まとめ

派遣社員(非正規社員)に関わる政策や、実質賃金、可処分所得について検討してみました。

いろいろな考え方の違いはなかなか埋められないものはあると思いますが、日本人として日本が長期的に繁栄して欲しいと思うのは誰も同じだと思いますので、何かしかの変革が必要です。

政治や政策はなかなか変わらないと思いますが、子供には、社会の動きや流れを世界的な視点でとらえ、自己実現を図りながら、チャレンジしていって欲しいと思います。そのために何回もチャレンジができる社会と、不安定すぎる職がない世の中になって欲しいことを望みます。

 

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