人工知能(AI)で新卒採用に対応するという企業が目立つようになってきました。
2017年の大卒の就職内定率は、過去最高の97.6%になってます。しかし年によって就職は厳しい年もあります。
学生側として、人工知能の対応に、どう対応していくか、親としてどう状況を認識するのか、AIに対する応募者の4つの対応ポイントを、採用側の面談経験や配置後の経験を踏まえてお話しします。
新卒者が現在対応していことは何か
大学3年の四月頃から就職活動は開始します。平均46社もの大量の会社にエントリーします。落ちるのが当たり前との認識になってます。応募する方も大変ですが、会社の方も大量のエントリシートがくるので大変です。
その親の世代でいうと、せいぜい数社だったと思います。しかも就職活動の開始は大学4年の夏ごろから....状況が全然違っていますね。
優良な大学なら学校の先輩のコネで大体入社でき、SPI試験はありません。面接も1回のみです。
バブルの頃なら、企業見学に行く時に、入社も決まってないのに、信じられないことに「フランス料理のフルコース」とホテル一泊もついてます。
親の世代の工学系でいうと、専門知識の研究は4年から始めてるので、何をしたいかというのも4年以降でないとなかなかイメージがわかないはずです。
今の大学生は、3年から、人によっては2年から開始し、勉強やクラブ活動に集中どころではなくなっている話しも聞きます
学業の経験を十分積む前に就職活動となります。
でも、それが世の中の流れになっているので対応するしかないですね。
4年位前に一流有名大学の優秀な学部生が就職活動のコツを語ってましたが、
- 正直にそのまま伝えるとどんどん落ちる。
- よって、あることないこと、ウソついても面談に通るように話しをしたらどんどん受かるようになった。
これを聞いた時、「ウソまでついて就職してもあとで困るハズ」と思ってましたが、落ちるのがあたり前なので、そうでもしないと合格できないとの切実な願いがありました。
この時はリーマンショック以降の就職氷河期時代でした。
今後、同じような不景気がいつ予見のしようがないので、対応は考えて置く必要があります。
面談では、自分の体験を肯定的に、ある程度ふくらませていう必要も出てくるかもしれません。
もともと企業採用者が見る点はどういうものか
企業側ではエントリシートや履歴書をチェックしたあとに、SPI試験のような適性検査を実施し、そのあと面接は3回程度実施します。
企業の大きさにもよりますが、企業の採用者は、人事の部門以外に現場部門の管理職もエントリーした学生のエントリシート・履歴書をまず見てSPI試験に行くか否か決めます。
ご存知からもしれませんが、面談・採用経験者として主に見てきたことを以下に紹介します。
履歴書
この場合、履歴書は手書きを求められるものが多いと思います。内容自身にきれいでなくても読み手のことを考えて丁寧に書くか、誤字がないかを見てます。
この履歴書は、写真が適当で丁寧に書かれてなかったら、中身を見ることなく却下となりますので要注意です。そういう人はあまりいないと思ってましたが、結構いましたので即却下しました。
人生がかかった重大イベントなのに「適当に対応して責任感がない」と判断されるからです。沢山履歴書を書く必要があるかもしれませんが、要注意ですよ。数は多くて大変だと思いますが、丁寧に処置しましょう。
また、どの企業も一番見るのが「主体性」と一般的に言われてます。
これは部活以外にもアルバイト経験についても言えます。自由な?4年間を過ごして学業以外に何に取り組んだか、あるいは学業の発展上で何に取り組んだかを主体性を見るうえでチェックすることになります。
受け身人間であったら困るからです。
前向きな内容と取り組みがあったら文章レベルではOKです。
文章では何とでも言えるので、あとはSPI試験の結果と面談で判断することとなります。
なお、学歴ですが、私の経験では、関係ないように思えても必ず見られます。会社に入った後のパフォーマンスとある程度の相関関係があるからです。でも学歴が高くなくても特段良い人を採用するのも事実です。
面談
面談する現場の管理職(人が欲しい部門側)の人も、初めて参加する人もいれば、何回も参加する人もあます。
何回も参加していくと、過去に入社した人がどうなったのか、言っていたことと実際がどうだったのかわかるようになるので面談で質問する内容もレベルアップしていきます。
面接官が初めての年の対応の場合
もし、面接官が初めての人だってら、現場で困っていそうな事項をいくつかあげ、対応できるか否か質問してきます。
例えば、「仕事が忙しい時に深夜残業になることもあるが体力的に大丈夫か」といった質問です。
でも、新卒者が「対応できます」と必ず前向きに答えます。
これでは得られる情報がないので、履歴書に書いているアピールポイントについて具体的に深い質問をして、その回答の仕方を見て、どの程度信ぴょう性があるか判断することとなります。
また、英語が必要な職場では、英検の取得状況以外にどういう風に勉強に取り組んでいるか、外国人との会話経験があるとなども聞いて、勉強の姿勢を確かめます。
面接官が複数年以上経験している場合
回答として、「対応できます」と言いそうな質問はあまりしなくなります。
情報が手に入らないからです。
履歴書に書いているアピールポイントを質問する以外に、もう少し高度な内容として、その人の主体性や問題認識、解決能力を試すような質問をします。
例えば、あくまでも例ですが、履歴書で何かの活動をしたことが書かれていたら、履歴書に書いてない内容について、
「その活動で主な問題は何だったのか」
「その問題について自分で解決策を考えたのか、あるいはチームワークで考えたか」
「その解決策はうまくいったのか、反省事項は何だったのか」等
企業で実施しているPDCAと同じ内容を質問して主体性や問題認識力、解決力を見ます。
特に会社では必ずチームで問題解決していくので、チームワークについての問題認識と経験は何かとか具体的に突っ込んで質問していくでしょう。
(業界や会社、管理職によって質問は当然異なりますので、あくまでも例です)
大学4年レベルの専門知識は、よっぽどの人でない限り企業が求めるレベルではありません。でもチームワークやPDCAを回せる力があると示せるとかなりポイントは高いです。(新卒でなく、若手社員でも同じ)
特に実現困難なハードルにぶちあたったが、それを克服したような経験談も良いと思います。
このあたりをきっちり答えられる人は評価が高く、入社してからも仕事はやはりできます。
でも脚色しすぎると突っ込まれて怪しいと思われますので、要注意ですよ。
人工知能で何ができるのか
では、人工知能で採用活動で何ができるのか調査してみます。
AIを使って評価のずれをなくすとのことです。
見る側も沢山あると最後は疲れてきて評価が多少変わる可能性があるからです。
2017年ソフトバンク:
IBMワトソンを使いエントリシートで、AIを使った評価と人間による評価を組み合わせる模様です。AIの評価は、項目毎に行い パスしない場合は人事担当者が確認。たとえば、自分の強みとエビソードを問う質問。
AIに学習させた内容は、過去の評価が高い人と低い人の1500人分。
-> 評価が中間の人がないのがポイントです。高い人の特徴は積極的に合格とし、低い人の傾向は、不合格とするロジックだと思います。また、現場管理職の目でない一般的なチェックになるはずです。
2016年 数社
NECが開発したシステムを使用。過去にどんな人を採用してきたのか、採用方針に合致する人材が分かるシステム。
AIに学習させた内容は、過去の2000人分の履歴書データの合否結果。
-> 履歴書だが、手書きでなくPC版と想定します。採用してきた人を中心に合致度を数値化するようなシステムと想定します。
この両方のシステムで共通するのは、過去のデータの蓄積に基づいているので、例えば、来年の新卒には別の選定指針をもったとしても反映できるデータが少ないと想定できます。
こういう、推察に関しては今の人工知能はまだ弱いと考えます。
利用できる範囲も多少Try&Error的なことがあるので、人間が補完することとなってます。
(面談まで人工知能が全部できれば大したもんですが、そこまではいきません)
今後企業採用者が見る点はどう変わってくるか
人工知能を使って選別できた人と面談することとなります。
よって面談側には、人工知能が示すデータの資料が置かれることになります。
これは新鮮な経験となるでしょう。面談する前に少し「何を質問するか」悩むことになるでしょう。
なお、サンプル数は少ないですが、無料で人工知能のワトソンを使って二回評価しています。(少しおふざけ系ですみません.....)
それを見ると当たっている箇所もあるが今一つの箇所や違っていることもあります。企業のAIは、これらの記事よりはチューニングをしっかりしているとは思いますが、うかつに信じることもできません。
理由のひとつとして、「なぜそう判断したのか」ということに対して正確に答えられないからです。これは「深層学習」というロジックを使っているためわからないのです。
面談者は、今までの履歴書のみの確認とは違ってこの人工知能の結果をもとに、特に重要視する項目(例:新卒者の強み、エピソードや性格のタイプ等)について、具体的に質問や説明を求めることとなるでしょう。でも上記の二つの例の範囲なら、かなりぼやっとした質問と想定できます。
AIに対する応募者の4つのポイント
結構AIが行う処理は画一的と想定できますので、対処はしやすいと思います。4つのポイントにまとめてみました。
1. 履歴書・エントリシートに書くべきポイントをチェックリスト化
まずは市販の図書などで、履歴書やエントリシートに書くべきポイントをチェックリスト化してください。そこに企業の採用担当者が考える重要なポイントが書かれているはずです。
必要に応じてネット等でもチェックして、そのチェックリストを改訂してみてください。
2. 企業研究
具体的に各企業がどういう点を評価するか、その基準までは不明なので企業研究をして想像するしかないです。
あるいはエントリシートで具体的に記述させることもあり、そういう場合は具体的に何を書いていくか想定しやすいです。
あくまでも自分の観点でなく、「会社側が自分を欲しいと思うか、そのアピールが無理なく分かり易くできているか」とのポイントを押さえてください。
そしてその企業に応じた内容でチェックリストを使いながらドラフトします。
3. 文書チェック
まず機械的に文章をチェックできるサイトでエントリシートや履歴書の内容を打ちこんで評価してみてください。
グーグルで「文章の評点サイト」など入力するとサイトの紹介がされます。
誤字、脱字があるだけで、例えば、Googleではサイトの評価を下げています。人工知能がどう評価するかはわかりませんが、誤字・脱字が多いものは信頼度を下げると想定してます。
以下にいくつか紹介します。(右に私の前のセクションの記事の主な評価を入れます)
また、これらの前にMS WORDでの文章校正で基本的な校正を済ましておきます。
文体診断ロゴーン (文章の一文が長い)
テキスト処理ツール (となります->です、に)
無料コピペチェックツール【こぴらん】 (問題なし)
最後のものは、プログを書いた時に、他人のものをコピペしたかどうか確認するツールです。人工知能にこの機能がなかったら、「アホ」としかいいようがないのですが、このチェツクは抜けていて入ってない可能性があります。
企業の採用担当者が書き物を大量に発注してないので、知らない可能性があるからです。
これらのものを利用して必要な部分はチェックリストを参考にしながら修正してください。
4. ワトソンをタダで利用して再評価
ワトソンはタダで利用できます。(2017年5月30日時点)
文章を1500文字以上入れると性格分析できます。
エントリシートや履歴書もしっかり書くとその位いくと思いますので、ワトソンに入力してみましょう。
一番下の性格分析の箇所をクリックして、次の画面で、「テキスト入力」「任意のテキスト」で文書をコピペして診断してみましょう。
なお、ここまでの記事を全部入力すると、主要なものは、
- 知的好奇心 94%!
- 自己超越 11%
うーん、もし面談でこれらの値があったら、「自己変革力をどう捉えているか」とか質問できますね。 11%ですが、答えられる自信はあります。
たとえば、「自分の想定範囲外の高い目標を設定して、今までではできないブレークスルーを自分に言い聞かせる」とかですね....
この例をもとに、コメントですが、結構、ビジネス書の自己啓発本が役立ってくると思います。その内容を変更したのが私の回答の例です。
良書を数冊読むと良いと思います。
実際の会社毎の評価項目はわからないですが、わかっている範囲で、この評価も参考に、必要部分を修正する、あるいは、想定問答の準備をする、などに活用できます。
もっと情報がわかったのなら、AI対策用、チェックサイトでも作りたいですが.....
まとめ
人工知能(AI)で新卒採用に対応するという企業が目立つようになり今後も省力化のため本格化すると考えます。
学生側として、人工知能の対応に、どう対応していくか、親としてどう状況を認識するのか、AIに対する応募者の4つの対応ポイントを、採用側の面談経験や配置後の経験を踏まえてお話ししました。
学生の皆さんは、画一的な対応をしてもらえるので不安にならず、ここでの記事をもとに、取り組んで頂いて採用を勝ち取って欲しいと願います。
また、表面より中身が重要ですので、その中身を充実する活動を意図的にするのも重要ですね。