北朝鮮と米国がヨーロッパで接触するというニュースが流れました。
北朝鮮は、チェ・ソニ米州局長ら。昨年は副局長だったので出世したのですね。
一気に問題解決とはならないとは思いますが、今までの接触状況と、今回の内容を大胆予想してみます。
今までの接触状況
もともとオバマ政権下では、6カ国協議で調整を行うこととなっており、北朝鮮が求める米国との直接交渉は米国が拒否していました。
今回、トランプ政権に変って、直接交渉することで事態を打開する機運も高まってきました。
それでは、ここ数年で今まで、米国と北朝鮮は接触があったのか、調査してみました。
以下がその内容です。
- 2016年5月 韓成烈米州局長とチェ・ソニ米州副局長 米元当局者と接触
- 2016年11月 北朝鮮チェ・ソニ局長 米元当局者と接触
- 2017年3月 北朝鮮チェ・ソニ局長 米元当局者ニューヨーク会談キャンセル
いずれも非公式なものです。
米国は、北朝鮮が核開発を止めない限り交渉しないというスタンスなので、逆に政府関係者ではない、元当局者が対応しています。
2016年のものについては、これらの話し合いがどうだったのか、という情報は流れていません。
米国のサイトも調べましたが、何ものってませんでした。
今回の内容を大胆予想
今回の内容を予想するために、米国と北朝鮮のお互いの基本的スタンスと、お互い持っているカードを確認してみます。
米国の基本的スタンス
- 北朝鮮を非核化させる。
- ICBMの開発を止めさせる。
- 従わない限り、圧力と経済制裁をかけ続ける。
- 時間稼ぎをさせない。
北朝鮮の基本的スタンス
- ICBMと搭載できる核兵器をなるべく早く開発する。
- 各国の経済制裁を止めさせる。
- 兵器開発のため時間稼ぎをする。
米国は、非核化させることが目標としても、既に北朝鮮は核を保有しています。
隠すこともできるので、非核化というのは地域の安全にも好ましいことだとは思いますが、今の段階では困難だと思います。
北朝鮮は、体制維持のため、国民を犠牲にしてもこのスタンスは永遠に取るでしょう。
体制転換はしないと米国が言及しましたが、その後転覆される可能性もあると考え、スタンスは変えないでしょう。
この基本的スタンスの違いによって、世界中の人が、交渉はうまくいかない、突破口はないと感じているのではないでしょうか。
外交で圧力を中国含めて掛けて一定の成果はありますが、ロシアという助っ人が現れ、ロシアと米国の関係も良くないことから、北朝鮮は何とか圧力をかわすのではないかと思います。
米国の交渉カード
米国が持っている交渉カードは以下と考えます。
- 軍事的圧力をかけ続けて本気度を示す。
- 外交的圧力と制裁をなるべく多くの国々を味方につけて実施する。
- ロシアと交渉し、二国間の問題を米国が譲歩することを条件に、北に対して支援をしないように交渉する。
- 策略を巡らし北朝鮮側の内部の人間に賄賂を送り、体制転換を狙う。
- なるべく時間かせぎをさせないため、安易に妥協しない姿勢を示す。
北朝鮮の交渉カード
北朝鮮が持っている交渉カードは以下と考えます。
- 軍事的圧力には一切屈しない姿勢を示す。
- 韓国、日本や在日米軍に核兵器を落とすことを示唆する。
- なるべく時間かせぎをして、その間にICBMと核開発を進める。
- 経済制裁については、ロシアとさらなる協力関係を築き、影響が出ないようにする。
今回の非公式会談の内容
米国と北朝鮮の各々のスタンスと交渉カードを考えると、重要な点は、ロシアとの交渉をどちらが有利に働くかということだと思います。
ただ、今回の会談では、ロシアは該当国ではないので、その内容には関係してこないと思います。
今回の非公式会談では、今後の本格的交渉のためのメッセージの探り合いになると思います。
各々の国のスタンスが異なるため、そのスタンス自体は交渉内容にはなってこないと思います。
こういう決裂しそうな交渉の時には、最終的には、お互いが最低合意できる案の可能性というものを協議すると思います。
どういう案があり得るかというと、以下です。
- 北朝鮮が第三国に核兵器を売らないことを条件に、経済制裁を緩和する。
- 北朝鮮がICBMの開発を中断するので、経済制裁を緩和する。
- 北朝鮮が核実験を中断するので、経済制裁を緩和する。
北朝鮮から見ると、ICBMや核兵器開発をやめるのでなく中断なので、また再開することができます。また、経済制裁緩和の見返りもあります。
米国から見ると時間稼ぎをさせられる恐れはありますが、兵器開発を中断するので、米国に対する脅威が下がり、その時間の中で経済制裁を緩和しつつも、いざという時の国際包囲網を築き、また体制転換も狙うこととなります。
具体的な「中断」を確認するための条件と、「経済制裁緩和」の範囲の条件は、お互い簡単に決まる内容とはならず、その後の調整になっていくでしょう。
そういう交渉を水面下でしながら、ロシアとの交渉を両国がするのではないでしょうか。