北朝鮮と戦争状態になるのではないかという秒読み状態の中で、米政権が北朝鮮に体制転換(regime change)求めずという衝撃的なニュースが流れました。
この記事ではあえて戦争にならないケースがあるか考察してみました。
ワシントンポストのニュース
衝撃的というよりは最悪事態にならないかもしれない少しホッと安心させるニュースです。
ワシントンポストの以下のニュースを流しました。
Trump’s North Korea policy is ‘maximum pressure’ but not ‘regime change’
"体制転換を求めず核開発をさせない「最大限のプレッシャ」をかける"としてます。ただし、"北朝鮮が行動を変えたら交戦状態には成りえる"と。
これはNSC(National Security Counsil)全員の決定です。
この情報の解釈
"行動を変える(changes its behavior)"という解釈ですが、具体的にはミサイル発射や核実験のことを差す、しかも懸案が今までより高いレベルで、と考えてます。
もともと北朝鮮は、ミサイル発射や核実験は何度もやってきているので、それが行動でした。
行動を変えるというのは、その行動の内容がよりインパクトが高くなった状況と考えます。
最初に私が受けた印象は、トランプ大統領が大きく強めのことを言い、結局最後は引っ込めるという同じパターンかと思いました。
ただし、これはトランプ大統領自らが発表した訳ではないのがミソです。トランプ大統領はこの決定に完全には従わなくても良いことになるからです。
また、恐ろしいのは戦争を始めると大統領の支持率が非常に高くなるということです。
そのことを念頭に、トランプ大統領に攻撃の判断はして欲しくないと望みます。
トランプ大統領は、中国が対応をしてくれるだろうが、もしそうならなければ米国が同盟国と対応をとるともいってます。
まず、中国にも対応を取らせようとしていることもポイントです。
それに対して北朝鮮は、米国が攻撃をしかけてきたら戦争になるといってます。逆に言えば攻撃をしなければ戦争にならないとのことです。
これらの一連のニュースを見る限り、北朝鮮は、核実験やミサイル発射で能力を顕示しようとしていて、それに対して米国は今までにない圧力をかけてます。
ただ、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の体制転換、すなわち暗殺までしないと情報をリークした裏は、「そちらが極端な行動に出ない限り体制転換まではしないので自制しろ。」と言っているのではないかと思います。
米国や日本、そして私が何を一番恐れるかというと、北朝鮮が攻撃を大々的に受け、金正恩がやけくそになって状況をコントロールすることをせず大量破壊兵器をいっせいに多数発射することです。
私もこれが一番怖いと思ってましたが、そこまではさせない信号を米国はリークしたのではないかと思います。
もし、北朝鮮がミサイル発射や核実験をして、米国が攻撃をしたとしても「おまえの命は助けてやるので極端な行動はするな」といいたかったのではないでしょうか。
本日4/15には、故金日成主席の生誕105年記念日で、ミサイル発射や核実験を実施すると言われてましたが、結局されませんでした。
これは、北朝鮮が米国のリーク情報を受取り、いま実施するまは得策ではない、もう少し様子をみて着々と兵器を開発しようと思ったのではないかと思います。
(注: この記事の翌日4/16には北朝鮮はミサイルを発射しました。米軍はすぐには攻撃はせず。よって「行動を変える」というレベルではなかったと米国は判断したと想定します。)
戦争にならないシナリオ
ここでは逆に戦争にならないシナリオを考えてみます。
まず、前提は以下と考えてます。
- 北朝鮮は、ミサイル発射試験や核実験を進め続ける
- 米国は今までのように北朝鮮にミサイル開発の時間を与えない
北朝鮮にとっては、核兵器を搭載した長距離のミサイルを持つことが一番重要と考えているはずです。
この条件の中で戦争にならないシナリオは以下と考えてます。
シナリオ1
- 米国は戦争を辞さない態度をとり続ける。
- 北朝鮮が試験のために発射するミサイルを米国等がすべて迎撃し、北朝鮮に開発意欲をなくさせる。
- 北朝鮮に中国含め最大限の非軍事的制裁を速やかに加え、深刻な影響を与える。
- 北朝鮮を交渉のテーブルにのせ体制転換しないことを条件に核兵器開発をやめさせる。
シナリオ2
- 戦争の緊張状態を続けさせ、北朝鮮の内部にも大きな不安を与え続ける。
- 北朝鮮の内部で体制が崩壊する。
金正恩もなかなかしたたかなのでそのシナリオ通りにはなかなかいかないかもしれません。
このシナリオ以外にも戦争にならないシナリオがあれば幸いです。
中国が適切な対応をして、緊張状態が段々と緩和されて平和な状態に戻っていくことを祈ります。
ただし、何が起こるかはわからないのでその時のために万全の準備はしておいた方が良いですね。