財政破綻は嘘?~国は通貨を発行できるの勘違いと国債金利問題

財政破綻という言葉が長年使われていますが、日本はこれまで何事もなく乗り越えてきました。そのため「今回も問題ないだろう」と考えがちですが、実際には状況は悪化しています。本記事では、現在の問題点とその背景を整理し、誤解されがちな主張や国債金利問題について解説します。

【現在の状況】

2025年3月の予算審議では、年金負担の増加、高額医療費の引き上げ、ガソリン暫定税率の撤回の困難さ、年収の壁問題が十分な解決に至らなかったことなどが議論されています。国民への負担増は反対が起こりやすいですが、一つ一つの事象の話以外に、実は良く見えない問題があります。安易な解決は、実は将来の負担を増やすという事です。医療も年金も個人が支払うお金に追加してお金が政府より投入されてますが、それは集めただけでなく、国債を発行して穴埋めしているのです。
安易に発行するとそれが今まで以上に大きな負担となって帰ってくるのです。

 

【その背景】

最大の理由は、国債の金利負担が増加していることです。2025年3月時点で政府の国債残高は1129兆円に達し、長期金利は約1.4%まで上昇しています。すべての国債が10年債ではないものの、金利負担の増加は以下のように進んでいます。

国債利払いの推移 過去10年間、日本の国債利払い費は低金利政策の影響で抑えられていました。しかし、日銀が金融政策の正常化を進める中、金利は上昇しつつあります。2025年度の国債利払い費は約10兆5230億円に達し、国債償還費は、予算の約25%を占めるまでになりました。この増加傾向は今後も続くと見られ、2028年度には16.1兆円に膨らむ可能性が指摘されています。つまり、将来他の支出にお金を回しにくくなるのです。金の維持コストが増え続ける状況にあり、追加の国債発行には慎重にならざるを得ません。

 

【広がる誤解】

「国は通貨を発行できるから問題ない」「国債発行に制限はない」といった主張が広がっています。しかし、こうした考えは実務を理解している人には受け入れられません。実際には、過剰な国債発行は市場の信認を損ね、金利上昇や通貨価値の低下を引き起こします。

どこが間違いか、具体的に指摘します。
国債発行は問題なしの嘘?銀行預金との関係は?(作成中)

 

【国債金利問題】

なぜ日本の国債残高がここまで増えたのか?その大きな要因は、黒田日銀が推進した異次元緩和にあります。本来、市場で決まるはずの長期金利を、日銀が国債を大量購入することで0%近くに抑え込む政策を実施しました。これにより、政府は低金利で国債を発行でき、金利負担が小さく済んだため、財政規律が緩み、国債発行が加速しました。

本来、国債が過剰に発行されれば市場が財政リスクを警戒し、国債価格が下落(金利上昇)するのが自然な流れです。しかし、日銀が国債を買い支え続けたことで、このシグナルが市場から失われました。これは世界の中央銀行が避けてきた禁じ手であり、その影響は計り知れません。

この問題をいち早く指摘していたのは、参議院議員の藤巻健史氏のみでした。国債や金利は高度な専門知識が求められるため、当時の国会議員や大臣の多くが、この政策のリスクを十分に理解できていなかったと見られます。リフレ派と呼ばれる経済学者たちは、「通貨供給量を増やせば日本経済は復活する」と主張しましたが、この理論は失敗に終わり、結果として日本には巨大な国債残高が残されました。

では、なぜ今後金利が上昇していくのか?その理由は、日銀が金融政策の正常化に動き出したからです。黒田総裁の退任後、日銀は国債買い入れ額を減らす方針を発表しました。市場では、大きな買い手(=日銀)が減少すると価格は下落し、金利は上昇するという基本的なメカニズムが働きます。

さらに、日銀が金融緩和を続けられない事情もあります。日銀は国債を買いすぎた結果、2024年6月時点で保有国債残高は約600兆円に達し、単年度決算で赤字を計上し、国債の時価評価では債務超過となる可能性も出てきました。これは、中央銀行としては極めて異例の事態であり、日本円の信用を揺るがしかねません。

この結果、海外市場では円の信頼が低下し、円安・ドル高が進行しやすい状況となります。円が売られれば、輸入物価が上昇し、インフレが加速することになります。これは家計や企業に大きな負担をもたらし、日本経済全体に悪影響を及ぼす可能性が高いのです。

 

【今後の展望】

国の借金が膨らみ続ける中で、必要なのは政治の抜本的な変革と、支出削減・増税・成長戦略のバランスです。支出削減と増税だけでは国民の負担が大きく、強い日本の復活は難しいため、次元の違う成長戦略が不可欠です。政治的には票につながりにくい施策ですが、長期的な視点での経済再建が求められています。

【まとめ】 財政破綻はすぐには起こりませんが、国債発行の限界を無視することは危険です。金利負担の増大と国の財政の制約を理解し、持続可能な経済政策を考えることが重要です。

以下の記事で提案を述べます。

https://yappaw.com/4348/

 

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